全さんのコオロギ
住民の会話に出てくる、ニワトリの餌にされたコオロギ。
常勝の大将も食べられてしまい、百両の黄金が水の泡に。
おそらくこれは、闘蟋(とうしつ)をしていたのだと思われます。
闘蟋とは、コオロギ相撲のことです。
中国の唐の時代にのちの賭博としての闘蟋が貴族の遊びとして始まりました。
ナワバリ性の強いコオロギの闘争心を利用して相撲に見立て、
秋にオス同士を喧嘩させます。
闘盆というリングに2匹のオスを入れ、
ネズミのヒゲを植えた筆で触覚などを撫でて興奮させると、
噛み合い、投げ飛ばし合う大げんかになります。
勝った個体が負けた個体に対して「リリリリリ」
と勝ち鬨をあげるように鳴いてリングを一周するため、
勝敗がわかりやすいそうです。
歴史的には賭博として栄えてきた側面を強く持つようなので、
全さんも「常勝の大将」で大儲けしていたのではないかと思われます。
だから百両の黄金が水の泡になってしまったのでしょう。
とにかく、ご愁傷様。